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小規模事業者持続化補助金ってなに?
小規模事業者持続化補助金とは、日本商工会議所が実施する、
小規模事業者が販路開拓や生産性向上の取組みを支援する制度です。
事業者自身が、持続的な経営に向けた経営計画を作成した上で行います。
2022年度版では、現行の通常枠の他に「特別枠」が新設されたことで話題になっています。
注目の「新設枠」には何があるの?
2022年から追加された「新設枠」には5種類あります。
- 賃金引き上げ枠
- 卒業枠
- 後継者支援枠
- 創業枠
- インボイス枠
それぞれ簡単に説明しますね。
■1.賃金引き上げ枠
従業員の賃金を地域最低賃金よりも高く設定し、賃金上げに積極的に
取り組んでいる事業主に対して補助上限額を200万円に引き上げる制度です。
■2.卒業枠
常時使用する従業員の雇用を増やし事業規模拡大を狙う取り組みに対して、
補助上限額を200万円に引き上げる制度です。
■3.後継者支援枠
後継候補者が実施する新たな取り組みに対して補助上限額を200万円に引き上げる制度です。
具体的には「アトツギ甲子園」においてファイナリストに選ばれた事業者が申請できます。
■4.創業枠
産業競争力強化法に基づく「特定創業支援事業の支援」を受けて創業した事業者が申請できる枠です。
後継候補者が実施する新たな取り組みに対して補助上限額を200万円に引き上げます。
■5.インボイス枠
免税事業者からインボイス発行事業者に転換する小規模事業者に対して補助上限額を
100万円に引き上げる制度です。
このように、新設枠にはそれぞれ申請できる対象者や補助上限額に違いがあるため、
しっかり押さえておきましょう!
小規模事業者持続化補助金の対象者は誰?
では、実際にどのような人が小規模事業者持続化補助金の対象となるのでしょうか。
小規模事業者持続化補助金公式サイトによると、対象者は、
法人、個人事業主、一定の要件を満たす特定非営利活動法人とあります。
ただし、「小規模」と名が付くだけあって、事業規模に条件が課されています。
<従業員数に関する条件>
- 宿泊業・娯楽業除く商業・サービス業の場合は、従業員数5名以下の事業者であること
- 宿泊業・娯楽業の場合は、従業員数20名以下の事業者であること
- 製造業その他の場合は、従業員数20名以下の事業者であること
<その他の条件>
- 資本金または出資金が5億円以上の法人に直接または間接に100%株式が保有されていないこと
- 直近過去3年分毎年課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと
- 当該補助金受付締切日の前10ヶ月以内に持続化補助金で採択されていないこと
「製造業その他」にはもちろん士業、経営コンサルの方も含まれます。
従業員数の中には、会社役員や個人事業主本人、パートタイム労働者、派遣社員、休業中や休職中の従業員は含まれませんので、注意しましょう。
一方で、以下の事業者は対象外となります。
- 医師、個人農業者、組合、社団法人、医療法人、宗教法人、学校法人、開業していない創業予定者、任意団体等
- 国が助成する他の補助金を既に受給している事業者
- 事業内容が公の秩序風俗を害する恐れがある事業(パチンコ、ゲームセンター風俗店等)
自分の会社は補助金の申請対象者の条件に該当するか、きちんとチェックしましょう!
小規模事業者持続化補助金の前提条件とは?
補助対象者となる条件の他にも、補助金が支給される要件は決まっています。
冒頭でも示した通り、小規模事業者持続化補助金とは、経営計画を作成した上で行う販路拡大の取り組みを支援するものです。
そのため、どんな経営計画を策定するかが重要となります。
小規模事業者持続化補助金の公式ガイドブックにもあるように、
補助金申請が受理されるためには、以下のような事業方針を策定する必要があります。
- 策定した経営計画に基づいて実施する地道な販路開拓、
または販路開拓とともに行う業務効率化の取り組みであること - 商工会、商工会議所の支援を受けながら取り組む事業であること
また、補助金の対象となる経費ついても、以下のような条件が定められています。
- 使用目的が事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費であること
- 補助交付決定日以降に発生し、対象期間中に支払いが完了した経費であること
- 証拠資料等によって支払い金額が確認できる経費であること
例えば、支払い済みではあるものの、補助期間中に実際の取組みがなされていない場合は、
補助金の対象外となってしまいます。
事業方針が販路開拓や業務効率化を狙うものとなるように、経営計画を作成しましょう。
また、補助金申請が受理された後も、経費の使用目的や支払い日については、対象外とならないように気をつけましょう。
小規模事業者持続化補助金の注意点
よく勘違いされやすい間違いを一つ取り上げたいと思います。
パソコンやタブレット端末などの機器は、小規模事業者持続化補助金の補助対象となるのか?
という話題がよくあがりますよね。
このような、パソコン機器類は補助の対象にはなりません!
なぜなら、小規模事業者持続化補助金は、新たに販路拡大を目指すための施策の一つだからです。
あくまでも販路拡大や業務効率化を目的に、
新規で策定する事業計画の中で消費した経費が補助の対象となるということです。
汎用的に使える車や文房具、パソコン機器は補助対象とならないため注意しましょう。
その他にも、経費の支払いは基本的に銀行振込に限られる点や、
クレジットカード支払いの場合は、口座引き落とし日が補助事業実施期限を過ぎていた場合は対象外となる点にも注意しましょう。
小規模事業者持続化補助金の申請対象経費には何があるの?
パソコンやプリンターなど、いつ買っても便利な物については補助の対象とならないことを説明させて頂きました。
それでは実際にどのような経費が補助対象となるのでしょうか?
なんと、補助対象の経費には11種類もあります!
- 機械装置(製造装置)の購入費用
- 広報費用
- ウェブサイト関連、改修費用
- 展示会、販路開拓のための旅費
- 新商品、新システム試作開発費
- 展示会出展費用
- 資料購入費用
- 機器設備のリース、レンタル費用
- 補助事業のために雇用したアルバイト派遣社員費用
- 新サービスを行うためのスペース確保目的の設備処分費用
- 店舗改装など自社では実施困難な業務を第三者に依頼する費用
このように、販路拡大を狙う経費に限られていることがお分かりになるかと思います。
特に、旅館や喫茶店などのサービス業や、製造業の方には使いやすい用途ではないでしょうか?
この中で1、2、3、11の経費について解説いたします。
■1.機械装置(製造装置)の購入費用
こちらは機械という文字通り、生産拡大のための鍋、オーブン、冷凍冷蔵庫購入費用や、
業務効率化のためのソフトウェアも対象となります。
例えば、飲食業を営む事業者が、高齢者や家族連れ集客力向上のために高齢者向け椅子や
ベビーチェアを購入した場合は補助の対象となります。
■2.広報費用
こちらはチラシ、カタログ、新聞、雑誌、郵送によるDM送付など、主に紙媒体を通した宣伝をする
際の費用が補助対象となるものです。
例えば、宣伝を目的としたチラシやカタログの外注費用や、新聞や雑誌の広告費用、販促品制作
費用も補助の対象となります。
一方で、宣伝を目的としない名刺や販促品については補助対象外となります。
■3.ウェブサイト関連、改修費用
こちらは他の経費と異なり、申請額の1/4が上限となっており、ウェブサイト関連費用だけの
申請はできないという条件があります。
対象となる経費としては下記のものが挙げられます。
- 商品販売のためのウェブサイト、HP制作や改修費用
- ネットを介したDMの発送
- インターネット広告、SEO対策にかかる費用
- 商品販路拡大のための動画作成費用
- 販路開拓に必要なシステム、アプリ開発費用
■11.店舗改装など自社では実施困難な業務を第三者に依頼する費用
これはどういう意味かというと、店舗改装、バリアフリー工事、トイレ改装工事のような
専門業者に依頼しなければできないことを依頼することを目的とした費用です。
あくまでも自社以外の第三者しかできないことが条件になるため、例えばデザイン会社が
デザインを外注する費用は、自社では実施困難とみなされず、補助対象外となってしまいます。
小規模事業者持続化補助金申請の流れは?
それでは最後にどのような流れで小規模事業者持続化補助金を申請するのか説明させて頂きます。
- 申請の準備
- 申請手続き
- 申請内容の審査
- 採択・交付決定
- 補助事業の実施
- 実績報告書の提出
- 確定検査、補助金額の確定
- 補助金の請求
- 補助金の入金
- 事業効果報告
たくさんステップがあると感じるかと存じますが、
特に重要なのはやはり「2.申請手続き」でしょう。
申請手続きは基本的に事業者自身が行わなければならず、
様式が決まっているためそちらに必要事項を記入し、郵送または電子申請システムで提出する流れとなります。
提出先は商工会議所になるため、事業者の所在地によって異なります。
募集要項をよく読んで適切な提出先を確認しましょう。
また、Jグランツという電子申請を利用して提出すれば、
審査の際に加点されるそうなので、ぜひ活用しましょう!
さて、「2.申請手続き」の話に戻りますが、このフェーズにおいて何が重要だと思いますか?
小規模事業者持続化補助金は、事業者の「経営計画」に基づく販路拡大施策に対する補助金です。
そのため、申請書にも経営計画を記入する項目がありますので、以下の点に注意して記載しましょう!
- 自社の経営状況分析の妥当性
- 経営方針目標今後のプランの適切性
- 自社の強みを踏まえているか?
- 対象市場の特性を踏まえているか?
- 実現可能性が高いか?
- 地道な販路拡大を目指すものとして必要なものか?
- 小規模事業者ならではの創意工夫があるか?
- ITを有効に活用する取り組みがあるか?
上記のような観点を盛り込んで経営計画を作成すれば、審査が通りやすくなるのではと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は2022年度版 小規模事業者持続化補助金の内容を解説させて頂きました。
より具体的な情報は小規模事業者持続化補助金公式サイトも参考にしてくださいね。
対象者となる条件や、補助金が支給される前提条件、対象経費の内容をおさえて、事業の販路拡大・業務効率化に取り組んでいきましょう!
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