「先が読めないから、今は投資を控えよう」——そう判断する経営者は少なくありません。しかし、コロナ禍のデータが示すのは、待った企業と動いた企業の間に20ポイント以上の売上差が生まれたという現実です。不確実な時代こそ、データをもとに投資判断を見直してみましょう。
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「今は待とう」という判断、本当に正しいですか?
イランをめぐる地政学リスク、円安・物価高の継続、AIによる産業構造の変化……。2025年現在、「先が読めない」と感じている経営者の方は少なくないと思います。こうした状況で多くの企業が選ぶのが、「今は投資を控えて、手元資金を厚くしておこう」という判断です。
それは決して間違いではありません。慎重さは経営者の大切な資質のひとつです。ただ、少し前に私たちは似たような時代を経験しました。コロナ禍です。あの3年間、「待った企業」と「動いた企業」は、その後どうなったのか。
結論:中小企業白書のデータでは「投資を行った企業の方が、売上・利益ともに成長している」ことが明確に示されています
コロナ禍のとき、企業はどちらを選んだか
判断A:キャッシュを守る
先行きが不透明なので、投資は控えて現金を積み上げておく。
判断B:この時間を使って内部を強くする
仕事が減って時間ができたぶん、DX・業務改善・設備更新に取り組む。
2021年版中小企業白書によると、実際には多くの企業が「判断A」を選びました。現預金の積み増しを優先し、設備投資には消極的になる傾向が全体的に見られました。財務省のデータでも、2020年4〜6月期の企業の設備投資は前年同期比 ▲11.3% に落ち込んでいます。
| 企業規模 | 経常利益の減少率(前年同期比) |
|---|---|
| 大企業 | ▲30.6% |
| 中堅企業 | ▲60.1% |
| 中小企業 | ▲79.6% |
出典:財務省「法人企業統計調査季報」2020年
でも、その後の業績に「差」が出た
コロナ禍を通じて何をしたかが、回復後の業績に大きな差をもたらしました。2022年版中小企業白書では、デジタル化・業務改善への取り組み段階別に売上高の変化(2015年→2021年)を比較しています。
| デジタル化の取り組み段階 | 売上高変化率 |
|---|---|
| 段階1:デジタル化未着手(紙・口頭中心) | ▲6% |
| 段階2:デジタル化初期(メール・PC利用程度) | ▲3% |
| 段階3:業務効率化・データ活用に取り組んでいる | +3% |
| 段階4:ビジネスモデル変革・競争力強化まで進んでいる | +14% |
段階1と段階4の差は、実に 20ポイント。同じコロナ禍を経験しながら、これだけの差が生まれています。
さらに2024年版中小企業白書でも、設備投資の有無による業績差が確認されています。
| 区分 | 売上高変化率(中央値) | 経常利益変化率(中央値) |
|---|---|---|
| 設備投資を実施した | +4.9% | +37.9% |
| 設備投資をしなかった | ▲1.8% | +27.6% |
売上高で6.7ポイント、経常利益で10ポイント以上の差
「守るだけ」では取り残される。白書が残した一文
「有事において手元流動性の確保を優先することも重要な経営判断ではあるが、設備投資を控えて必要以上に手元資金を持つことは、経営の効率性を損ねている可能性も示唆される」
出典:2022年版中小企業白書
「守ること」を否定しているわけではありません。ただ、「守るだけ」では次の成長から取り残されるリスクがある、とデータは静かに示しています。
実際に「逆張り」した企業の実例
神奈川県の精密金型メーカー・株式会社明輝
コロナ禍でも「危機こそ投資の最大のチャンス」として設備投資を継続しました。その背景には、リーマンショック後の苦い経験があります。
あのとき、一切の投資を止めた結果、社員は350名からピーク時の200名に激減。市場が回復しても設備の老朽化で受注に対応できず、外注頼みになって利益率を圧迫し続けました。
「不況期の方が市況価格が下がり、投資総額を抑えられる。」
黒柳社長|出典:2021年版中小企業白書
守るために止めた投資が、回復期にこそ足を引っ張る。この教訓は、業種や規模を問わず、多くの企業に共通するものだと思います。
不確実な時代に中小企業が取るべき戦略
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「待つ」企業と「内部を整える」企業は、嵐が過ぎた後に大きく差が開く
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投資とは、必ずしも大きな設備購入ではない。業務の仕組みづくりやITツールの整備も立派な投資
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不況期や停滞期は、コストを抑えながら取り組める数少ない機会でもある
「何から始めればいいかわからない」と感じたら
いきなりシステムを導入検討しようと考えるのではなく、まずは業務の可視化と課題の整理を一つのプロジェクトとして始めてみましょう。まずは以下のステップを検討してみてください。
現場の声を拾い、図解でボトルネックを特定する
独自開発か既存品か、最適な手段を比較する
小さく始め、運用しながら改善を重ねる
