すまいる顔がシステム開発に携わったユーザー企業の方にインタビューをして、
結果をブログに掲載するというシリーズが始まりました。
今回は、第2弾として、コンサル系企業にお勤めのKさんの体験談です。
Kさんは営業マンですが、経営層からの指示で業務効率化のための
新規システムを開発することとなり、要件定義メンバーとして、
システム開発プロジェクトに参画したそうです。
営業マンたちの要望を取り込んで、ゼロから半年かけて完成したシステムでしたが、
現在ではそのシステムは、ほぼ利用されずに眠っているそうです。
しまいには社内ではそのシステムの話題に触れられない雰囲気になってしまったそうです。
失敗経験と同時に、「こうすればもっとうまくいったのではないか」
という生の声もお聞きすることができたので、
システム開発がうまくいかずに悩んでいる、という方はぜひ参考にしてみてください!
システム開発やシステム導入についてお困りの方は、下記よりお気軽にご相談ください。
目次
俺みたいになるな!半年かけて開発したシステムがひどかった。
Kさんの会社では、法人向けにコンサルティングサービスを提供しているそうです。
その業務の中で見積もりを手作業で行っており、そこに時間がかかるため業務効率化のための
システム開発を検討し始めたそうです。
しかし、半年かけて出来上がったシステムは、「全く使う気になれないもの」だったそうです。
例えば、
- レイアウトが見づらい
- 文字の大きさが小さい
- 色が薄い
- 行をグレーアウトできない
- 行を自由に動かすことができない
などの不便な点があったそうです。
それ以前は各営業マンがそれぞれのスタイルでEXCELを使って管理していたそうですが、
システムでは案外EXCELで簡単にできるような視覚的な表現を実装することが難しいのです。
そのため、行をグレーアウトするといったことや、行を自由に入れ替えるなどのことが
システム上で表現できず、不便に感じたそうです。
従来は各営業マンがパソコンに保存している見積もり表を一元化したいという明確な目的があったそう
ですが、その目的も達成できなかったと語っていました。
毎日使うシステムだからこそ、見にくいインターフェースの場合ストレスに感じますよね。
いくらシステムで一元化することが効率的と理解できていても、
使うのが嫌になるほど見にくいシステムであれば、自然と利用しなくなる気持ちもわかります。
確かにシステム開発側からすれば、決められた予算と期間の範囲内でできることも限られます。
しかし日常的に使っているチャットアプリや音楽再生アプリなどの見やすいインターフェースに慣れて
しまっている現代人に対しては、画面のデザイン性が重要であると言えるのではないでしょうか。
システムの機能的には満たしていても、デザインに満足いかなければ使用されなくなる、ということを
覚えておきましょう。
営業任せの要件定義の限界
Kさんは営業マンという立場からシステム開発プロジェクトに携わっていました。
プロジェクトメンバーとしてはもちろん、経営者や役職者、情報システム部門の社員もいました。
しかし、システムの要件をまとめるのは営業マンが中心で、
情報システム部門の社員はベンダーとのやりとりを行っており、直接要件定義に関わることは
無かったそうです。
また、営業部門の役職者達は、営業マンたちが出した機能のアイデアを精査することを主に
担当しており、やはり要件定義自体は営業マン自身で行っていたということでした。
もともとは経営層の指示でやることになったシステム開発プロジェクトでしたが、
経営層は指示をした後は営業に任せきりの状態でした。
営業マンは日々の営業の業務がある中で、残業をしてシステム開発に携わっていたようです。
Kさんは、
「残業削減のための業務効率化システムを開発するために、逆に残業をしていたことに違和感を覚えた」と語っていました。
確かにこれでは本末転倒だと感じます。
最後まで経営者や役職者は責任を持って関わって欲しいものですが、経営層は多忙な中でシステム開発
に直接関わることはできないものだと思います。
しかしKさんの事例から、営業マンに要件定義を任せきりにしてしまうことは問題があるということがわかるのではないでしょうか。
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営業マンが語る。辛かったあの日々
毎月10時間残業したけど評価されなかった
Kさんはシステム開発のプロジェクトに参画してから、毎月10時間は残業するようになったと
仰っていました。
Kさんとしてはあれだけ業務以外のことで残業したにも関わらず、査定の評価に繋がらなかった
ことについて不満を感じたそうです。
上司から定性的な面で「頑張ったね」と声がけはあったそうですが、直接報酬に結びつくような評価にはならなかったそうです。
問題点は、結果的に不満が残るシステムが完成してしまったにも関わらず責任の所在が不明確と
いうことではないでしょうか。
役職者たちも支店を超えた部門同士の折り合いをつけるなど、要件の整理に時間を使っていた
そうですので、それなりに会社全体でコストをかけていることになります。
このように、プロジェクトマネージャーが不在のシステム開発はうまくいかないということと、
ユーザーサイドが直接関わる場合は実績に応じて評価することが大事であることがわかります。
追加改修の見積もりは大変
Kさん達が開発したシステムは、結局使えないものとなってしまい、リリース後に追加改修を
行うことになったそうです。
そこでKさん達が困ったことは、機能追加の要望についての費用対効果の説明です。
追加改修でさらにコストをかけることとなったことで、経営層から追加する機能の費用対効果の
算出を求められたそうです。
Kさん曰く、「機能を追加することでどのような効果があるかを分単位で算出するが、
結局正しいかわからないし、数分だけの効率化なら欲しくてもいらないとなってしまった。」
とのことです。
画面のインターフェースの見やすさを改善することを、効率化と結びつけることはなかなか難しい
のではないでしょうか。
特に、EXCEL並みの見やすさと同レベルのことを、なぜ今更追加改修でわざわざお金をかけて
やらなければならないのか、ということに疑問を感じたそうです。
「EXCELができることは最低限システムでもできて欲しかった」と語っていましたが、
システムエンジニアの立場からすれば、それを実現するのには難しいこともあります。
しかし、システムエンジニアの開発上の都合など、ユーザー側から理解することはできないのです。
要件をまとめる際にはシステムに明るい人材がプロジェクト内にいなくては、追加開発のコストが余計にかかるリスクが伴います。
どうすればこのような事態にならなかったか?
結局要件を出してもシステムはすべての要望に答えられない
Kさん含め営業マン達は日々残業をして一生懸命システム要件の意見出しをしました。
多くの社員がそれぞれの要望を出していましたが、結局完成したシステムは全員の要望を満たす
ものではありませんでした。
その光景を間近で見たKさんは、すべての要望にシステムが答えることは無理だと感じたそうです。
筆者もこの意見はシステム開発の難しさを一言で現していると感じます。
システムは一見、人間の希望を全て満たすものを作り上げることができるもののように思われますが、
実際に理想通りのシステムを作るためには、優秀なシステムのプロが何人も必要なのです。
いくら業務に精通している営業マンが要件を出し合っても、システムにおける実現性を検討する
システムエンジニアが一緒に考えなければ意見を出し合った時間が無駄になってしまいます。
しかし、業務に寄り添いつつシステムの要件をまとめ、システムに落とし込むエンジニアを雇う
コストは高くつきます。
なかなか中小企業において社内にそのような優秀な人材を常に雇用する
ことは厳しいのではないでしょうか。
そこでKさんはこのようなことを思ったそうです。
「要望に叶うシステムが出来上がらないのなら、システムに合わせて業務を変える方が
まだ効率的に感じる。最初から用意されたシステムがあり、それをうまく活用するには
どのような運用をしたらいいかを考えた方が早いと思う。」
「または最初から全てをやろうとせず、最低限必要な機能だけに絞って開発すれば、
まだ活用の余地があったかもしれない。」
中小企業で社内の人間だけで要件をまとめなければならない状況の場合は、
いっそのこと出来上がった状態のパッケージシステムを購入して、そのシステムの業務フローに
従って利用してみるという手法を試してみるのはいかがでしょうか。
システム開発は規模が大きい。だからこそ優秀なプロに任せよう。
Kさんはコンサルティング業務として、クライアントのシステム開発の見積りを担当したこともある
そうです。
そこで驚いたのは、ユーザ側のシステムに対する要望の細かさと、システム構築費用の高さでした。
また、一つのシステムを導入しようとすると、人事や給与など他のシステムにも関わることが多く、
既存システムとの兼ね合いもあり、保守費用やカスタマイズも含めると数億規模の値段になって驚いたと語っていました。
Kさんの仰るとおり、システムは人間が作るので、人件費がかかります。
システムエンジニア一人当たり一月で100万円〜200万円かかることが多いです。
さらに、システム開発の内容によっては半年以上かかる場合もあり、サーバーなどのハードウェア
購入代金も積み上がると数億規模になることもあります。
経営者にとって情報システムへの投資はリスクでもあり、業務効率化の一手を担う手段でもあります。
社内システム開発が難航している、今後開発しようと思っているがどんなリスクがあるか知りたい、
という方はまずはシステムのプロに相談してみることをおすすめします。
すまいる顔では、中小企業のシステムによる経営の効率化をサポートしています。
ぜひお気軽にお問い合わせください。